日本の移民問題
愛知県一宮市の個人塾、いしだ塾の塾長、石田喜嵩です。
移民によって揺らぐアイデンティティ?
BBCニュースが、日本でのモスク建設に伴う住民の不安と、長く日本に住むムスリムの意見を取材した記事を公開しています。
"A Japanese town wrestles with identity after protests over its first mosque"(→日本語版)
取材に応じたムスリムは、「最近ヘイトが増えた」とか、「悪いムスリムばかりではない」などという一方、もう少し踏み込んだ意見も言っているのが注目されます。
中でも、「日本人はイスラムのことを知らない」、「長いこと自分たちのことをわかってもらう努力や発信をしてこなかった」という反省の念を込めたコメントには、かえって私たちに反省を促します。
一年ほど前の読売新聞オンラインの記事は、パキスタン人の多さから「ニシヨドスタン」と称される大阪市大和田地区を取材しています。
(「万博とは異なる景色広がる「ニシヨドスタン」、多くのパキスタン人が住む地域を記者が取材…対立あおるSNSの誤情報」)
そこでも、「多くの地域では、大和田地区のように日本人と外国人に接点がほとんどない」こと、そして、「互いの理解が不十分な状況は不安定で、外国人の更なる増加や多国籍化を機に、摩擦や分断が起きる恐れがある」という見解が紹介されています。
この読売の記事を取り上げたのは、私自身、この「ニシヨドスタン」のパキスタン料理のおいしさに感激した経験があるからです。
思い返せば、私はいわゆる「異文化体験」には恵まれてきたのかもしれません。
幼少期、祖父の経営する町工場で働くベトナム人とやりとりし、中学生のころは中華料理屋さんにハマって働く中国人の様子を好んで眺めたり話したりしていました。
高校のころ留学したアメリカで、クリスチャンのホストマザーの言動に戸惑ったこともあります。
京都では、さまざまな国の留学生とかかわる機会を得たほか、ペルシャ料理のお店に通っていました。
ムスリムに関しては、このペルシャ料理店のムスリム店員がたびたび隅の小部屋に行き、仕切りをして礼拝をしていた記憶が強いです。
下宿の近くにユダヤ教の集会所(シナゴーグ)があるのを知って、何度か行ってみたこともありました。
キリスト教会での葬式に参列したこともあります。
思い出すままに挙げてみましたが、別に特別な経験ばかりではなさそうです。
誰にでも簡単にできそうなこともあります。
アイデンティティとは?
ところで、「アイデンティティ」って、何でしょう。
BBCの記事で、「日本の町がアイデンティティと苦闘している」と書かれている「アイデンティティ」です。
「アイデンティティ」は一般には「自己同一性」と訳され、「自分は何者か」という意識のこととされます。
が、ここではそうでなく、「帰属意識」という意味で使われているようです。
あるいは、「帰属していると感じることによる安心感」でしょうか。
だから、「日本がこれまでの日本ではなくなってしまうのではないか」という疑いが恐怖を生むというわけですね。
しかし、私個人としては、どうも、「アイデンティティ」という言葉の意味が、上の二つの意味どちらにしても、実感としてよくわかりません。
「自分が何者か」分かったことはついぞありませんし、「日本に帰属していると感じること」によって安心したこともありません。
さらに言えば、「日本」なるものがどういうものかなどというのは深い謎です。
そういう意味では、私は自分が帰属しているはずの「日本」というものについて知らな過ぎて、上手に帰属できていないのではないかという心配ばかりです。
アイデンティティなどというのは、死ぬまで問い続けなければならないものではありませんか。
とすると、アイデンティティが揺らぐなど、筋が通りません。
国家秩序の維持のために
国家秩序、あるいは公共の福祉というのも同じような意味と私は解しますが、この問題は残ります。
アイデンティティということを一切合切考えないとしても、習慣や習俗がばらばらであれば、人間は共同生活を円滑に送ることができません。
とここで、私は改めて、この国の天皇制なるもののありがたさを感じました。
異なる出自、異なる信仰、異なる風習の人々が増えて、秩序が不安定になっているなら、そうした人々の代表者と、天皇陛下がお食事を共にすればよい。
万一それが難しければ、彼らの行事に陛下が臨席すればよい。
もし誰かが陛下に公然と無礼を働いたら、それを厳しく取り締まることに反対する人は多くないでしょう。
反対に、陛下に敬意を持った振る舞いをすれば、多くの日本人が彼への警戒心を緩めるでしょう。
移民たちのもとに陛下がお出ましになることは、国内のさまざまな記念式典に臨席するよりも、ずっと国益にかなうと思うのですが。
しかし、たぶん、これを実現するのは容易なことではないでしょう。
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