OED online の購読料は案外高くない

愛知県一宮市の個人塾、いしだ塾の塾長、石田喜嵩です。

Shorter Oxford English Dictionary 入手、その後

先日、60万語以上を収録する二巻本、Shorter Oxford English Dictionary (SOD) を購入して、ときどき開いて楽しんでおります。
Shorter というからには Longer に当たるものが当然あり、それこそが、もっとも権威ある英語辞書 Oxford English Dictionary (OED)です。
英語の注釈書なんかを見ると、OED の文字をよく見かけます。
SOD は、OED をもとに、古すぎる用例などを省いたものです。
だから研究者でもない限り、これで十分だと思ったのです。
それは実際そうなのです。

ですが、省略されているのはどうやら古すぎる用法だけではないようです。
例文やら語義やらでも切り詰められているものはちらほらあるみたいです。
そんなことを調べていると、OED のことが気になってきてしまいました。
もちろん、OED を買うほど経済的余裕があるわけでもないし、ずっしりした20巻を並べておく場所も、それを使いこなす筋肉もあるとは思えません。

OED online

だいいち、いま OED と言えばオンライン版です。
一度や二度なら無料で使えるようなので、見てみたことがあります。
SOD と違うと気づいたのはその時です。
しかし、これがいわゆるサブスク契約で、明らかに大学等との契約が一般的なようです。
個人で契約することもできますが、正直高い。
そう思ってそれっきりにしていました。

今日、やはり気になって、そういえばいくらだったっけと改めて調べなおしました。
年間100ポンドです。(1か月、4か月の契約もあります。)
現在のレートだと、二万円強。
年間二万円...。
ひと月だと10ポンドなので、2千円超。
月2千円...。

一年だけ、ひと月だけという利用の仕方ならいいかもしれません。
いや、案外いいかも...。

いつか、OED を使いまくる日が来るかもしれません。

文系の研究は何に金を使うのか

余談ですが、文系の研究は、文献を読んで考えることがメインになるので、あまり金がかかりません。
精密な実験器具や、大きな実験室はもちろん必要ありません。
その代わり、まさにその文献を整える資金は案外バカにならないことがあります。
OED をはじめとした辞書もそうですが、文学者や哲学者の全集の、ドイツ語で言えば Historisch-kritische Ausgabe, 英語では単に critical edition という言い方をするようですが、そういう批判考証を経て校訂された全集は、かなりの労力の産物で、当然ひょいと入手できるものではありません。
日本では、例えば『校本 宮澤賢治全集』および『新校本 宮澤賢治全集』がその校訂の丁寧さで有名です。

私の好きな本たち

私の所有しているものでそこまで細かいものというと、Arden版 の Shakespeare、Philosophische Bibliothek 版の Kant、Akademie 版の Hegel くらいでしょうか。
角川書店の『日本近代文学大系』も、なかなか注が細かくて面白いです。
岩波書店の『日本古典文学大系』および『新日本古典文学大系』は言わずもがなです。
折口信夫『死者の書・口ぶえ』やヴェーバー『社会科学と社会政策にかかわる認識の「客観性」』(いずれも岩波文庫)など、文庫本でも注の詳細なものはときどきあります。
お察しのことと思いますが、私はこういう愛のこもった文献研究の成果が大好きです。

話を戻せば、文系の研究では、こうした文献学的な基礎研究を支えるために金を使い、さらにその成果を利用可能なものとするために金を使うのです。

いろいろな全集や研究書を買い集めることは別としても、OEDとジャパンナレッジを使えるようにするにはそれぞれ年間2万円以上かかります。大学生はそれが使い放題と考えるとちょっとうれしいものです。

ていうか、逆に、年に4万円強払えば OED とジャパンナレッジが使い放題ってすごくないですか?
OED のモデルにもなった、32巻にも上る膨大なドイツ語辞典、通称グリムドイツ語辞典は、無料で公開されています。
すごくないですか?

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